ここでは簡易水冷CPUクーラーのクーラント(冷却水)交換方法を記します。
必要なもの
- 簡易水冷CPUクーラー本体(PCからは取り外しておく)
- タライまたは桶またはバケツ
- 特殊ネジ対応のドライバー
- USB-3ピンファン用12V電源変換ケーブル(AINEX CA-USB12VAなど)
- USB ACアダプタ
- 自動車・オートバイ用クーラント(キジマPG55HQ(プロピレングリコール系)など毒性がなく低粘度のもの)
- 防水・潤滑用シリコングリス(OLYMPUS PSOLG-2やAZシリコーングリースなど)
- 使い捨てニトリルグローブ
- 精製水
- 50mLシリンジ
- 使い捨てプラカップまたは紙コップ
- 極細繊維ブラシ(使用済歯ブラシなどでOK)
作業手順
- PCから取り外した簡易水冷CPUクーラーから、マウント用ブラケットや固定用ネジ、ファンなどを全て取り外し、ラジエーター、チューブ、ポンプ内蔵水冷ヘッドだけの状態にする
- ポンプ内蔵水冷ヘッドには大抵ポンプ用電源コードとLED電源コードなどが出ている部分があり、そこにはカバーが付いているので、そのカバーを取り外す(外せないものはそのままでよい)
- ポンプやLEDの実装されている部分には電気が流れるが、濡れるといけないので養生テープなどで密閉して水が入らないようにする(水冷ヘッドのポンプ側は分解せず、銅板側を分解する)
- ここで使い捨てニトリルグローブを着用する
- CPUヒートスプレッダとの接触面(多くの製品では銅板でできている)を上向きにしながら、接触面のネジを全て抜いて取り外す。この際、漏れ出てくるクーラントが桶に落ちるようにする(有毒なことがあるので注意)。また、ネジの取り付けトルクをおおまかに手で覚えておく
- 開けたところにはシリコンゴムなどでできた特殊形状パッキンがあるので、それを取り外して水道水で洗浄する。また、溝に溜まっているゴミを取り除く
- 水冷ヘッド冷却面(銅板があった側)を下向きにして上下に揺すり、クーラントを桶に落とす(クーラントは自動車整備工場やガソリンスタンドなどに持っていけば回収してもらえる)
- 50mLシリンジに精製水を50mL吸引
- 水冷ヘッド冷却面を上向きにしてシリンジから精製水を注入する(詰まらないように少しずつ揺すりながら入れる)
- 精製水がいっぱいになるまで入れたら、注入した精製水の量を記録しておく
- 水冷ヘッド冷却面を下向きにして上下に揺すり、精製水を排水する
- 精製水注入と排水を繰り返して流路を洗う。精製水の注入量が収束してきてゴミが出なくなってきたら終了
- 取り外したヒートスプレッダとの接触面(銅板)の裏側にある熱交換器の隙間に溜まったゴミをブラシで取り除いて洗浄し、乾かす
- パッキンの縁の部分にシリコングリスを薄く塗布する
- 水冷ヘッド冷却面を上向きにして上面に表面張力で山盛りになるようクーラントを置き、空気が入らないようパッキンを取り付ける(溢れた分は拭き取る)
- 全体を揺すりながらシリンジでクーラントを限界まで注入する
- パッキンの上にも表面張力で山盛りになるようクーラントを置き、ヒートスプレッダとの接触面を水冷ヘッドに取り付けてネジ止めする(トルクのかけすぎに注意。やや緩めでよい)
- USB-3ピンファン用12V電源変換ケーブルを介してUSB ACアダプタに接続し、ポンプを動かす
- ポンプを稼働させながら色々な方向に回転させたり、ラジエーターの向きは固定で水冷ヘッドだけを回転させたりして漏れがないか、音がおかしくないかを観察する
- 大抵は空気が多いために変な音がするので、ポンプを動かしたまま水冷ヘッド冷却面が一番高くなるようにして揺すり、空気を水冷ヘッド冷却面に集める
- ポンプを止めて再度水冷ヘッド接触面を外す
- クーラントを限界まで追加してから水冷ヘッド接触面を取り付ける(トルクのかけすぎに注意。やや緩めでよい)
- ポンプの音が静かになるまで繰り返す
- 色々な方向に回転させてもポンプが静かに稼働するようになればOK(このやり方ではエア抜きは不完全だがクーラントが流れれば問題はない)
- 水冷ヘッド接触面のネジをできるだけ締める(締めすぎに注意。他のネジより明らかに多く回すことがないようにする)
- ラジエーターに熱湯をかけて加熱する(ついでにラジエーターを洗浄)
- 熱々のままでポンプを稼働させて漏れがないか確認し(ここで漏れるならCPUフル稼働時に漏れてしまう)、水冷ヘッド接触面までちゃんと熱が伝わるかも確認する
- 乾燥してから養生テープを剥がして水冷ヘッドのカバーを取り付ける
なお、完璧を期するなら、水冷ヘッド接触面を外してクーラントに水没させたままでポンプを稼働させてエア抜きし、水没させたままで接触面を取り付け、上下反転させてからネジ止めする。ただ、実際にはそこまでやらなくても問題はない。