Windows上ではGoogle日本語入力が使用可能だが、Google日本語入力のオープンソース版であるMozcをWindows用にコンパイルして使用することもできる。Google日本語入力が開発終了ということもないとは言い切れないので、一応ここにコンパイル方法をまとめておく。

Mozc UT Dictionariesの作成

Mozcそのままでは語彙が少なく変換効率が今ひとつのため、Mozc用の拡張辞書であるMozc UT Dictionariesを作成してMozcのソースコードに適用する。Windows上のWSL2環境のUbuntu 24.04で下記のようにコマンドを実行することでMozc UT Dictionariesを作成し、この辞書をMozcソースに適用できる。

sudo apt update
sudo apt upgrade -y
sudo apt install -y git wget python3-pip python3-venv python-is-python3
cd /mnt/c/Users/$USER/Desktop
mkdir -p temporary
cd temporary
git clone https://github.com/google/mozc.git
python3 -m venv ~/mozcdic-ut
source ~/mozcdic-ut/bin/activate
pip3 install jaconv
git clone --depth 1 https://github.com/utuhiro78/merge-ut-dictionaries.git
cd merge-ut-dictionaries/src/merge
bash make.sh
cat mozcdic-ut.txt >> /mnt/c/Users/$USER/Desktop/temporary/mozc/src/data/dictionary_oss/dictionary00.txt
deactivate
exit

必要に応じて、make.shをテキストエディタで編集して追加辞書を有効化できる。

Mozcコンパイル用開発環境の整備

wingetコマンドが使用できる環境を仮定すると、「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」で起動したコマンドプロンプト上で、下記のコマンドで必要なものがインストールできる。

winget install -e --id Microsoft.VisualStudio.2022.Community --scope machine
winget install -e --id Python.Python.3.12 --scope user
winget install -e --id Bazel.Bazelisk --scope user
exit

インストール後、Visual Studio 2022 Communityに追加コンポーネントをインストールする必要がある。

  1. 「Visual Studio Installer」を起動
  2. 「Visual Studio 2022」の「変更」を押す
  3. 「.NETデスクトップ開発」、「C++によるデスクトップ開発」、「WinUIアプリケーション開発」にチェックを入れる
  4. 「インストールの詳細」を展開して、「C++ WinUIアプリ開発ツール」、「v143ビルドツール用C++/CLIサポート(最新)」、「最新のv143ビルドツール用C++ MFC (x86およびx64)」にチェックを入れる
  5. 「個別のコンポーネント」で「Windows用C++ CMakeツール」と「Git for Windows」にもチェックを入れる(インストールしていなければ)
  6. 「閉じる」を押すことで追加コンポーネントのインストールが実行される
  7. インストール完了後、念のため再起動する

Mozcコンパイルの実行

「x64 Native Tools Command Prompt for VS 2022」を起動し、以下のコマンドを逐次実行する。なお、起動時にエラーメッセージが出るようであれば、開発環境が正常にインストールできていない可能性が高いので、下記を実行してエラーが出たら、開発環境を全てアンインストールしてから再度インストールをやり直す。

python -m pip install six requests
python -m pip install --upgrade pip
cd C:\Users\%username%\Desktop\temporary\mozc\src
python build_tools/update_deps.py
python build_tools/build_qt.py --release --confirm_license
bazelisk build --config oss_windows --config release_build package
move bazel-bin\win32\installer\Mozc64.msi ..\..\..

これで、デスクトップ上にMozc64.msiが作成されるので、これを実行すればMozcがインストールできる。Mozc UT Dictionariesを適用したMozcの再配布ができるのかどうかよくわからないので(できるなら誰かがやっているはずだろう)、自分用に個人的に作成して使用するに留めておく方が安全と思われる。